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相続人がいない場合の相続財産について(2023年4月1日からルールが変わります。)

相続人が誰もいない、または、相続人の全員が相続放棄をして相続人がいなくなった場合、亡くなった方の相続財産はどうなるのでしょうか?

その場合には、相続債権者や特別縁故者等の利害関係人が、家庭裁判所に「相続財産清算人」の選任を申し立て、選任された相続財産清算人が債権者を探して相続財産から弁済し、特別縁故者がいればその人に相続財産を一部分与し、最終的に残った財産は国庫に帰属することになります。

この流れ自体は、2023(令和5)年4月1日施行の改正民法(以下「改正法」といいます。)でも同じです。

改正法による変更点は、まず、従来は「相続財産管理人」制度であったものを、「相続財産清算人」に名称変更した点です。

次に、改正法によって、これまでの「相続財産管理人」制度と比べて、短期間に結論が出せるようになりました。

具体的には、従来は、①相続財産管理人の選任の公告、②相続債権者等に対する請求の申出をすべき旨の公告、③相続人捜索の公告を、順に行うこととされていた結果、権利関係の確定に最低でも10か月間を要していたところ、法改正によって、上記①~③の官報公告が同時や並行して行えるようになり、権利関係の確定に最低必要な期間が10カ月から6か月に短縮されました。

なお、改正法によって、相続放棄した者は、①放棄時に現に占有している相続財産について、②相続人や相続財産清算人に引き渡すまでの間、③自己の財産におけるのと同一の注意をもって保存する義務がある旨の規律が設けられました(民法940条1項)。

また、改正法によって、新たに相続財産の保存行為を行う「相続財産管理人」という制度ができました(民法897条の2)。

従来は、共同相続人による遺産共有状態であるケースや、相続人のあることが明らかでないケースについては、規定がなく、相続財産の保存に必要な処分ができませんでした。

改正法は、相続が開始すれば、相続の段階にかかわらず、いつでも、家庭裁判所は、相続財産の管理人の選任その他の相続財産の保存に必要な処分をすることができるとの包括的な制度に改正したものです。

改正法では、上記以外にも、相続に関連するルールが変更されています。

相続人が誰もいない場合の相続財産の処分にお悩みの方はもちろん、相続全般についてのお悩みがありましたら、当事務所までお気軽にご相談下さい。