202341日から遺産分割のルールが変わりました。具体的には、特別受益や寄与分を主張する場合には、相続開始時から10年以内に行わなければならなくなりました。

なお、遺産分割協議や遺産分割調停の申立てに期間制限があるわけではないので、10年以上経過していても遺産分割協議や遺産分割調停の申立ては可能です。

 

まず遺産分割は法定相続分に従った割合が原則です。法定相続分とは、遺産の総額に対して各法定相続人が取得できる遺産の取得割合で、相続人が配偶者と子どもの場合はそれぞれ2分の1ずつ、相続人が配偶者と被相続人の親の場合は、配偶者が3分の2、親が3分の1です。法定相続分とは、遺産の総額に対して各法定相続人が取得できる遺産の取得割合です。法定相続人とその順位については、こちらのコラムをご覧ください。

コラム【あなたは「相続人」になれますか?】

そして特別受益や寄与分がある場合、法定相続分をベースとして、それらの要素を加味して相続分を修正します(これを具体的相続分といいます。)

特別受益とは、被相続人から生前贈与や遺贈などにより得た利益のことをいい、寄与分とは、特定の相続人が、被相続人の財産の増加・維持に特別な貢献をした場合に認められる遺産取得割合をいいます。

 

今回、法律の改正により、具体的相続分に基づく割合で遺産分割を希望する場合は、10年以内に特別受益や寄与分を主張する必要があることになりました。10年が経過した場合には、具体的相続分ではなく、原則として法定相続分で相続することになります。

 

もっとも、10年が経過した後でも、次の場合は、例外的に具体的相続分での相続が可能です。

①相続開始時から10年が経過する前に、家庭裁判所へ遺産分割請求(調停や審判の申立て)が行われていた場合。

②相続開始時から10年の期間が満了する前の6か月以内に、遺産分割の請求ができないやむを得ない事由があった場合、その事由が消滅した時から6か月経過前に相続人が家庭裁判所に遺産分割請求の調停や審判の申立てを行っていた場合。

 

弊所では、相続に関するご相談は初回1時間無料となっておりますので、何か気になることがございましたら、遺言作成などの生前対策も含めて、お気軽にお問い合わせください。

 (弁護士 吉田 朋弘)