遺産分割協議がまとまらない場合、どうしたら良いですか?
家庭裁判所に「調停」を起こすことができます

まず、このような場合、家庭裁判所に「調停」を起こすことができます。

調停は、遺産分割協議と同じく、「遺産を分けるための話合い」です。違いは裁判所で「調停委員」という第三者に関与してもらいながら話合いを進める点です。
調停で意見がまとまれば、調停調書という書類ができ、遺産分割協議書が作成された場合と同様に、遺産が分けられることとなります。

遺産分割調停を申し立てるには、申立書を裁判所に提出しなければなりませんが、裁判所には定型用紙が備えられていますし、裁判所のホームページでも公開されています。

ただし、申立書の写しは、原則として相手方にも送られますので、ことさら相手方の感情を刺激するような不必要な記載を書かないように注意する必要があります。

また、遺産分割調停の申立てに当たっては、戸籍のほか、遺産に関する証明書(不動産登記事項証明書、固定資産評価証明書、預貯金通帳の写し等)を提出する必要があります。

遺産分割調停では、調停期日に当事者全員が呼び出され、原則として1人ずつ交互に調停室に入室して、調停委員2名が事情を聴き、遺産分割の合意に向けて意見を調整します。
調停委員に自分の言い分を正確に理解してもらうためには、自分の言い分をなるべく整理して文書化し、その根拠となる資料を準備して調停に臨まれるのが良いでしょう。

さらに、調停委員の多くは法律の専門家ではありませんから、遺産の範囲、寄与分、特別受益などが問題となっている場合には、弁護士に依頼した方が、法律に則った適切な解決が期待できると思われます。

家庭裁判所の遺産分割調停も不成立となった場合

家庭裁判所の遺産分割調停も不成立となった場合、自動的に審判手続に移行します。これは、「話し合い」ではなく、家庭裁判所の裁判官が判断する手続となります。

この審判になってしまうと、「誰がどの遺産を相続するか」は裁判官が決めるので、自分の希望しない遺産の取得を強制されることもあります。たとえば、相続財産として自宅不動産しかないような場合、当事者が望んでいなくても競売による換価が命じられたり、相続人全員の共有とする審判が下されることもあります。

したがって、調停委員会の調停案を拒否して審判手続に移行する際には、事前に審判になった場合のデメリットを十分に検討しておく必要があるでしょう。
当事者の方が審判手続きに進むデメリットを正確に把握することは難しいと思いますので、遅くとも審判手続きが視野に入った段階以降は、弁護士に相談・依頼した方が良いと思います。

当事務所の弁護士は、遺産分割協議から調停、審判に至るまで、幅広く相続に関するご相談・ご依頼を受任した経験がございますので、お気軽にご相談下さい。