以前、弊所のコラム「賃貸マンション契約更新時、賃料値上げの上、定期借家での再契約を提示されました」で、契約更新時に貸主から一方的な賃料値上げについては、直ちに応じる必要がないこと、定期借家契約への変更にも応じる必要がないことをご紹介しました。

 では、定期借家契約とはどんな契約なのでしょうか?普通借家(賃貸借)契約とはどこが違うのでしょうか?この時期、進学や就職など新生活開始に伴い、新たに部屋を借りる人も多いと思いますので、注意事項について説明したいと思います。

■ 最大の特徴は「更新がない」こと

 住居というのは生活の一番大切な部分であるため、借地借家法という法律が、家を借りる人に有利な方向で、特別な規定をしています。以前のコラムでもご紹介したように、普通賃貸借の場合は、契約期間が何年と定められていたとしても、原則として従前の内容で契約更新され、貸主が一方的に退去を求めることができません。しかし、貸主側からすると思い通りに賃料を設定したり退去を求めたりできないため、借地借家法第38条では、定期建物賃貸借(定期借家)契約というものを認めています。

 定期借家は、文字通り「期間を定めた」契約であり、借家人は契約書に記載された期間がお終了したら、退去しなければなりません。このように、借家人にとって更新される保証がない契約であることから、契約締結時にその旨をきちんと説明した書面を交付することなどが契約成立の条件となっています。

■「再契約」と「更新」は異なります

 物件の募集の際に「再契約相談可」といったフレーズがあることもありますが、普通賃貸借における更新とは別物ですので注意が必要です。期間終了に併せて改めて契約を結びなおす「再契約」は可能ですが、これは貸主が同意した場合に限りますし、その際の賃料や賃貸期間は貸主側が改めて設定できてしまいます。

■定期借家契約は増えています

 ここ数年都内では著しい地価の上昇や、事業用賃貸物件が投機目的で購入されるなどの背景などもあり、借家人の退去、賃料の増額変更が容易にできるとして普通借家契約ではなく定期借家契約として募集される物件が増加しているとの報道があります。かつては、更新がないという借主にとってのデメリットを考慮して、定期借家契約は普通借家契約に比べて、相場よりも低額な賃料に設定されているという傾向がありましたが、現在では定期借家契約の場合の賃料も、決して割安とは言えないように感じられます。

 期間限定で住むことが確定している場合は定期借家契約でも問題ないかもしれませんが、ここ数年の賃料相場の著しい上昇傾向を考慮すると、大きく変わらない条件で更新することが保証されている普通賃貸借契約を選んでおいた方が安心ではあるでしょう。

(弁護士 村山 圭一郎)