2024年5月17日に民法等の一部を改正する法律が成立し、財産分与に関するルールも改正されることになりました。2026年5月24日までに施行されることになっており、施行時期が近づいています。
・請求期間が5年に伸長されました
改正により、財産分与請求権の行使期間は、離婚後2年以内から5年以内に改められました(民法768条2項ただし書)。
・考慮事項の明確化
改正法では、財産分与について、「離婚後の当事者間の財産上の衡平を図るため、当事者双方がその婚姻中に取得し、又は維持した財産の額及びその取得又は維持についての各当事者の寄与の程度、婚姻の期間、婚姻中の生活水準、婚姻中の協力及び扶助の状況、各当事者の年齢、心身の状況、職業及び収入その他一切の事情」を考慮して定めると規定し、考慮事項を明確化しました(民法768条3項)。
現在の実務では、財産分与では清算的要素(上記の条文で言えば「婚姻中に取得し、又は維持した財産の額及びその取得又は維持についての各当事者の寄与の程度」)が考慮の中心ですが、考慮要素として扶養的要素(上記の条文で言えば「婚姻の期間、婚姻中の生活水準、婚姻中の協力及び扶助の状況、各当事者の年齢、心身の状況、職業及び収入その他一切の事情」)として明確化されたことで、今後の実務にも影響を及ぼす可能性があります。
なお、改正法は、「当事者双方がその協力により財産を取得し、又は維持するについての各当事者の寄与の程度は、その異なることが明らかでないときは、相等しいものとする。」(民法768条3項)とし、いわゆる2分の1ルールも明文化しています。
・情報開示義務
離婚の際に相手方の財産を把握していないことがありますが、改正法では、裁判所は当事者に対し、必要があると認めるときは、その財産の状況に関する情報を開示することを命ずることができる旨の規定が設けられました(家事事件手続法152条の2第2項、人事訴訟法34条の3第2項)。
正当な理由なくその情報を開示せず、又は虚偽の情報を開示したときは、決定で、10万円以下の過料に処するものとも規定されています(家事事件手続法152条の2第3項、人事訴訟法34条の3第3項)。