裁判を起こす際、最初に気になるのが費用はいくらかかるのかという点です。訴訟費用とは、裁判所に納める手数料や送達費用、証人・鑑定人への報酬など、手続を進めるうえで必要な費用をいいます(民事訴訟法61条以下)。弁護士費用はここでいう訴訟費用には入らず原則として自己負担ですが、不法行為に基づく損害賠償請求などでは、損害の一部として相手方に請求できる場合もあります(一般に認容額の1割程度)。弁護士費用についてはこちらの記事をご覧ください。
民事訴訟の費用(東京地裁・簡裁)
訴訟を起こすときには、まず「訴え提起手数料」として収入印紙を訴状に貼付します。金額は請求額に応じて決まり、10万円の請求なら1,000円、100万円なら1万円、500万円で3万円、1000万円では5万円となります。この訴え提起手数料は全国一律です。
加えて、相手方へ書類を送るための「送達費用(郵便切手)」を納めます。東京地裁・簡裁の通常訴訟では6,000円です。
証人尋問や鑑定が行われる場合には、証人の日当・旅費、鑑定費用が必要となります。民事訴訟の証人日当は「8200円以内」とされており、裁判所に予納する必要があります。ただし、実際の証人尋問では証人を裁判所から呼び出すのではなく(これを「呼出」といいます)、当事者が裁判所に連れてくることが多いので(これを「同行」といいます)、同行の場合には予納の面倒を避けるため日当の請求を放棄してもらうことが通常です。
鑑定費用は内容により数十万円から100万円以上になることもあります。
判決で勝訴した場合、これらの費用は「訴訟費用額確定手続」により相手方に請求できます。なお、民事訴訟は和解により終了することも多いですが、その場合の訴訟費用は各自の負担とされることが通常です。
家事事件の費用(東京家裁)
家庭裁判所では、離婚・遺産分割・親権などの家事事件を扱います。
離婚事件を例にとると、離婚調停の手数料は1件あたり収入印紙1,200円、送達用切手が1240円です。また、離婚訴訟の場合、離婚のみを求める場合の手数料は1万3,000円ですが、財産分与の申立てや養育費の請求等を行う場合は、その分の手数料が加算されることになります。
なお、以上の金額は2025年10月現在のものですので、実際の訴訟費用については裁判所のホームページを確認したり、弁護士に聞いたりするなどして最新の情報をご確認ください。


