インターネット上で、「顧客満足度No.1」、「口コミ人気No.1」などの広告を目にすることがあります。

 合理的な根拠に基づくものばかりではなく、第三者の主観的評価に基づくNo.1 表示も多く見られます。

 このようなNo.1 表示が、合理的な根拠に基づかず、事実と異なる場合には、実際のもの又は競争事業者のものよりも著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認され、不当景品類及び不当表示防止法(以下、「景品表示法」といいます。)における不当表示として問題となり得ます。

 また、No.1 表示以外にも、「医師の○%が推奨」、「おすすめしたい○○」等のように、専門家等が商品等の購入・利用を勧めていることを示すフレーズを用いる高評価%表示も、商品等についての第三者の主観的評価を訴求している点で、主観的評価によるNo.1 表示と同様の問題を生じます。

 そこで、2024年9月26日、消費者庁は、「No.1表示に関する実態調査報告書」を公表しました。これは、商品等の内容の優良性または取引条件の有利性を訴求するために「売上No.1」「安さ第1位」等と強調する広告表示である、いわゆるNo.1表示について、消費者庁がその実態を調査するとともに、景品表示法について一定の考え方を示すことを目的としたものです。

 消費者庁の実態調査によれば、ほとんどの事業者は表示の根拠を十分に確認しておらず、不当表示を未然に防止するための管理上の措置(景品表示法22条1項)がとられている様子はうかがわれなかったとされています。

 そして、消費者庁は、No.1表示に合理的根拠があると認められるためには、

①比較対象となる商品・サービスが適切に選定されていること

②調査対象者が適切に選定されていること

③調査が公平な方法で実施されていること

④表示内容と調査結果が適切に対応していること

 の4点を挙げています。

 したがって、事業者においてNo.1表示を行うにあたっては、上記の4点に留意することが必要となると考えられます。

(弁護士 髙井 信也)